源氏物語「宵過ぐるほどに 1/4」(夕顔)   問題

 光源氏は17歳。そのころ源氏は六条に住まっていた亡き東宮の御息所(「六条御息所」と呼ばれる)のもとに通っていた。その途中にある、病を得ている乳母の家を見舞っていたころ、知り合った女性と親しい仲となった。
 次は、その女性と別邸で過ごした時の出来事である。この女を「夕顔」と呼び習わしている。これを読んで後の問いに答えよ。


 宵過ぐるほど、すこし寝入りたまへるに、御枕上にいとをかしげなる女ゐて、「おのが @いとめでたしと見たてまつるをば尋ね思ほさで、かく aことなることなき人を率ておはして b時めかしたまふこそ、いと cめざましくつらけれ」とて、この御かたはらの人をかき起こさむとすと見たまふ。物に襲はるる心地して、 dおどろきたまへれば、灯も消えにけり。うたて思さるれば、太刀を引き抜きてうち置きたまひて、右近を起こしたまふ。これも恐ろしと思ひたるさま eて参り寄れり。「(  A  )」とのたまへば、「(  B  )」と言へば、「(  C  )」とうち笑ひたまひて、手を叩きたまへば、山彦の答ふる声いと疎まし。人え聞きつけで参らぬに、この女君いみじくわななきまどひて、いかさまにせむと思へり。汗もしとどになりて、我かの気色なり。「(  D  )、いか f思さるる gか」と右近も聞こゆ。いとか弱くて、昼も空をのみ見つるものを、 hいとほしと思して、「我人を起こさむ。(  E  )いとうるさし。(  F  )」とて、右近を引き寄せたまひて、西の妻戸に出でて、戸を押し開けたまへれば、渡殿の灯消えにけり。【夕顔】

問1 aことなる、b時めかし、cめざましく、dおどろき、hいとほしの意味を言い切りの形で記しなさい。★

問2 e、f、gの「」の相違を文法の観点から簡潔に記しなさい。★★

問3 @いとめでたしと見たてまつるをば尋ね思ほさでとは、誰をどうするというのか、15〜20字で記しなさい。★★

問4 (  A  )〜(  F  )に、文意が通じるように適当なものを、次から選び記号で記しなさい。★★★
   もの怖ぢをなんわりなくせさせたまふ本性にて
   あな若々し
   ここに。しばし。近く
   渡殿なる宿直人起こして、紙燭さして参れと言ヘ
   手叩けば山彦の答ふる、
   いかでかまからん、暗うて

問5 本文を三段落に区切るとすれば、二、三段落の初めの五文字を記しなさい。★★★

問6 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮とその父親の名を順に記しなさい。★★★


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