源氏物語「住吉参詣」(澪標)1/2 問題

 光源氏は右大臣勢力の圧迫を逃れるため、須磨へと退去して、つらい日々を過ごすこととなる。そこで出会ったのが、播磨の国に土着した元国司の娘明石の君である。光源氏はその後赦免の宣旨が下り、懐妊した明石の君を残し帰京してしまう。翌春、明石の君は姫君を出産する。光源氏は内大臣となり、実質的に政界の最高の地位を占めることとなった。次の本文は、須磨退去の時代住吉の神に立てた願がかなえられたことへのお礼のため参詣するが、明石の君もたまたまそこへ来合せる場面である。本文を読んで問に答えなさい。

 その秋、住吉に詣で給ふ。願ども果たし給ふべければ、いかめしき御歩きにて、@世の中揺すりて、上達部、殿上人、我も我もとつかうまつり給ふ。
 折しも、かの明石の人、年ごとの例のことにて詣づるを、去年今年はさはることありておこたりける、かしこまり取り重ねて思ひ立ちけり。舟にて詣でたり。岸にさし着くるほど、見れば、ののしりて詣で給ふ人のけはひ、渚に満ちて、いつくしき神宝を持て続けたり。楽人A十列など、装束を整へ、かたちを選びたり。「誰が詣で給へるぞ。」と問ふめれば、B「内大臣殿の御願果たしに詣で給ふを、知らぬ人もありけり。」とて、はかなきほどの下衆だに、心地よげにうち笑ふ。「げに、あさましう、月日もこそあれ。なかなかこの御ありさまをはるかに見るも、身のほどくちをしうおぼゆ。さすがにかけ離れ奉らぬ宿世ながらかくくちをしききはの者だに、もの思ひなげCにて 、つかうまつるを色ふしに思ひたるに、何の罪深き身にて、心にかけておぼつかなう思ひ聞こえつつ、かかりける御響きをも知らで立ち出でつらむ。」など、思ひ続くるに、いと悲しうて、人知れずしほたれけり。

問1 @世の中揺すりての意味を10字以内で記しなさい。★
問2 A十列の和訓としての読みを現代仮名遣いのひらがなで記しなさい。★
問3 B「内大臣殿の御願果たしに詣で給ふを、知らぬ人もありけり。」とて、はかなきほどの下衆だに、心地よげにうち笑ふについて次の問いに答えなさい。
  (1)明石の君が源氏の住吉参詣を知らなかったのはなぜか。その理由の一つにあたる叙述を本文中から7字で抜き出しなさい。★★
  (2)はかなきほどの下衆は本文の他の個所ではどのように言い表しているか、5字以上10字以内の語句を抜き出しなさい。★★
  (3)心地よげにうち笑ふとあるが、その理由を明石の君はどのように考えているか。本文から15字以内で抜き出しなさい。★★
問4 Cにてを文法の観点から解説しなさい。★★
問5 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮とその父親の名を順に記しなさい。★

advanced Q.1 「明石の人」が源氏の君との間に姫君をもうけたことをどう表現しているか、本文から10字以内で抜き出し、かつ、それを現代語訳しなさい。

advanced Q.2 「いと悲しうて」とは、端的には何に対するものか。本文中から四字で抜き出して答えなさい。


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源氏物語「住吉参詣」(澪標)1/2 exercise

 (源氏の君は)その秋、住吉に詣で給ふ。願ども果たし給ふべければ、いかめしき御歩きにて、世の中揺すりて、 a上達部、殿上人、我も我もとつかうまつり給ふ。
 折しも、かの明石の人(=明石君)、年ごとの例のことにて詣づるを、 b去年今年はさはることありておこたりける、かしこまり取り重ねて思ひ立ちけり。舟 cにて詣でたり。岸にさし着くるほど、見れば、 @ののしりて詣で給ふ人のけはひ、渚に満ちて、いつくしき神宝を持て続けたり。楽人十列など、装束を整へ、かたちを選びたり。「誰が詣で給へるぞ。」と問ふめれば、「内大臣殿の御願果たしに詣で給ふを、知らぬ人もありけり。」とて、 dはかなきほどの e下衆だに、心地よげにうち笑ふ。「げに、あさましう、 A月日もこそあれ。なかなかこの御ありさまをはるかに見るも、身のほどくちをしうおぼゆ。さすがにかけ離れ奉らぬ宿世ながら、かくくちをしききはの者だに、もの思ひなげ fにて、つかうまつるを色ふしに思ひたるに、何の罪深き身 gにて、心にかけておぼつかなう思ひ聞こえつつ、かかりける御響きをも知らで立ち出でつらむ。」など、思ひ続くるに、 Bいと悲しうて、人知れずしほたれけり。

問1 abeの漢字の読みを現代仮名遣いのひらがなで記しなさい。

問2 cfgの「にて」と文法上同用法のものを使っているのはどれか、次から選びなさい。

   (イ)梅の花咲きて散りなば桜花継ぎて咲くべくなりにてあらずや
   (ロ)つらつきいとらうたげにて、眉のわたりうちけぶり…
   (ハ)月はありあけにて、光をさまれるものから…
   (ニ)すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。

問3 dとほぼ同意義となる表現を本文中から抜き出しなさい(5字以上10字以内)。

問4 次に当たる語を本文中から抜き出しなさい。但し、活用語は基本形にして記すこと。

   (イ)「晴れがましいこと」という意味の名詞の語。
   (ロ)「涙を流す」という意味の動詞の語。
   (ハ)「そうはいうもののやはり」という意味の副詞の語。
   (ニ)「あきれるさまだ」という意味の形容詞の語。

問5 @「ののしりて詣で給ふ人のけはひ、渚に満ちて、いつくしき神宝を持て続けたり。楽人十列など、装束を整へ、かたちを選びたり」の様子を簡潔に述べた箇所を文中から10字以内で抜き出しなさい。

   A「月日もこそあれ」の「月日」とは具体的にはどういう「月日」か。「〜する」と現代語で10字以内で答えなさい。

   B「いと悲しうて」とは、端的に言うと何に対するものか。本文中から四字で抜き出して答えなさい。

問6 「明石の人」が源氏の君との間に姫君をもうけたことをどう表現しているか、本文から10字以内で抜き出し、かつ、それを現代語訳しなさい。

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