源氏物語「須磨での天変」1/3  (明石巻)   問題

 光源氏27歳。光源氏は、政情が変化して不都合なことばかりが起こるので、須磨に退くことを決意する。その須磨で禊(みそぎ)のため海辺に出て祓(はらえ)をするうちに、にわかにかき曇り、防風・雷雨・津波などの危難にあう。風雨は数日続き、荒天の中を京から紫の上の使者がやってくる場面である。これを読んで後の問いに答えよ。


 なほ雨風やまず、雷鳴り静まらで a日ごろになりぬ。 bいとどものわびしきこと数知らず、来し方行く先悲しさ御ありさまに心強うしも(    )思しなさず、「 @いかにせまし、かかりとて都に帰らんことも、まだ世に赦されもなくては、人笑はれなること(     )まさらめ。なほこれより深き山をもとめてや跡経えなまし」と思すにも、「浪風に騒がれてなど人の言ひ伝へんこと、後の世までいと軽々しき名をや流しはてん」と思し乱る。御夢にも、ただ同じさまなる物のみ来つつ、まつはしきこゆと見たまふ。雲間もなくて明け暮るる日数にそへて、京の方もいとど eおぼつかなく、かくながら身をはふらかしつるにやと心細う思せど、頭さし出づべくもあらぬ空の乱れに、出で立ち参る人もなし。
 二条院よりぞ、あながちに、 fあやしき姿にてそぼち参れる。道交ひにてだに、 A人か何ぞとだに御覧じわくべくもあらず、まづ追ひ払ひつべき gの男の睦ましうあはれに思さるるも、我ながら hかたじけなく屈しにける心のほど思ひ知らる。御文に、「あさましく小止みなきころのけしきに、いとど空(     )閉づる心地して、ながめやる方なくなむ。
 B浦風やいかに吹くらむ思ひやる袖うちぬらし波間なきころ」
あはれに悲しきことどもも書き集めたまヘり。ひき開くるより、いとど汀まさりぬべく、 jかきくらす心地したまふ。  「京にも、この雨風、いと kあやしき物のさとしなりとて、仁王会など行はるべしとなむ聞こえはベり(     )。内裏に参りたまふ上達部なども、すべて道閉ぢて、政も絶えてなむはべる」など、はかばかしうもあらず、かたくなしう語りなせど、京の方のことと思せば mいぶかしうて、御前に召し出でて問はせたまふ。「ただ、例の、雨の小止みなく降りて、風は時々吹き出でつつ、日ごろになりはべるを、例ならぬことに驚きはべるなり。いとかく地の底徹るばかりの氷降り、雷の静まらぬことははべらざりき」など、 Cいみじきさまに驚き怖ぢてをる顔のいとからきにも、心細さぞまさりける。

問1 a日ごろ・bいとど・eおぼつかなく・fあやしき・hかたじけなく・jかきくらす・kあやしき・mいぶかしうの意味を、活用語は基本形にして記しなさい。
   gの読みを現代仮名遣いで記しなさい。 ★

問2 空欄のに一字の副助詞を、に強意の係助詞を、に2字の副助詞を、に一字の過去の助動詞を書き入れなさい。★★

問3 @いかにせまし・A人か何ぞとだに御覧じわくべくもあらず・Cいみじきさまに驚き怖ぢてをるを口語訳しなさい。★★★

問4 B浦風やいかに吹くらむ思ひやる袖うちぬらし波間なきころ」で使われている修辞法について説明しなさい。★★

問5 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮とその父親の名を順に記しなさい。★


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