源氏物語「明石の姫君の入内 2/2」(藤裏葉) 問題
次の文章は、三才の時紫の上の養女として育てられていた明石の姫君が東宮の女御として入内し、紫の上と明石の君がはじめて対面する場面である。これを読んで後の問いに答えよ。
いとうつくしげに、雛のやうなる(姫君ノ)御ありさまを、(明石の君ハ)夢の心地して見奉るにも、涙のみとどまらぬは、一つものとぞ見えざりける。年ごろよろづに嘆き沈み、さまざま憂き身と思ひ屈しつる命も延べまほしう、はればれしきにつけて、まことに住吉の神も @おろかならず思ひ知らる。
思ふさまにかしづき聞こえて、心及ばぬこと、はた、をさをさなき人のらうらうじさなれば、おほかたの寄せ・おぼえよりはじめ、なべてならぬ御ありさま・かたちなるに、宮(東宮)も、若き御心地に、いと心ことに思ひ A聞こえ給へり。いどみ給へる御方々の人などは、この母君のかくて候ひ給ふを、瑕に言ひなしなどすれど、それに消たるべくもあらず。いまめかしう、並びなきことをばさらにも言はず、心にくくよしある御けはひを、はかなきことにつけても、あらまほしうもてなし B聞こえ給へれば、殿上人なども、めづらしきいどみどころにて、とりどりに候ふ人々も、心をかけたる女房の用意・ありさまさへ、いみじくととのへなし給へり。
上(紫の上)も、さるべき折ふしには参り給ふ。御仲らひあらまほしううちとけゆくに、さりとてさし過ぎもの慣れず、侮らはしかるべきもてなし、はた、つゆなく、あやしくあらまほしき人のありさま・心ばへなり。
大臣(光源氏)も、長からずのみおぼさるる御世のこなたにとおぼしつる C御参り、かひあるさまに見奉りなし給ひて、心からなれど、世に浮きたるやうにて見苦しかりつる宰相の君(夕霧)も、思ひなくめやすきさまに静まり給ひぬれば、御心落ちゐ果て給ひて、今は D本意も遂げなむとおぼしなる。対の上(紫の上)の御ありさまの見捨てがたきにも、中宮(秋好中宮)おはしませば、おろかならぬ御心寄せなり。この御方にも、世に知られたる親ざまには、まづ思ひ E聞こえ給ふべければ、 Fさりともとおぼし譲りけり。夏の御方(花散里)の、時々にはなやぎ給ふまじきも、宰相のものし給へばと、みなとりどりにうしろめたからずおぼしなりゆく。
明けむ年、四十になり給ふ。御賀のことを、 Gおほやけよりはじめ奉りて、大きなる世のいそぎなり。【藤裏葉】
問1 @おろかなら・C御参り・Gおほやけの意味を記しなさい。★
問2 ABEの敬語は誰と誰に敬意を表すものか、次に示すものから該当する記号を選び「〇と〇」という言い方で答えなさい。★★
イ 帝 ロ 東宮 ハ 光源氏 ニ 夕霧 ホ 姫君 ヘ 紫の上 ト 明石の君
問3 D本意とは、誰がどうすることを言うものか。★★
問4 Fさりともとおぼし譲りけりとは誰がどうしたのか。指示語の指示内容を明らかにして、かつ、省略されていることを補って口語訳しなさい。★★★
問5 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮とその父親の名を順に記しなさい。★
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源氏物語「明石の姫君の入内 2/2」(藤裏葉) exercise
次の文章は、三才の時紫の上の養女として育てられていた明石の姫君が東宮の女御として入内し、紫の上と明石の君がはじめて対面する場面である。これを読んで後の問いに答えよ。
いとうつくしげに、雛のやうなる御ありさまを、(明石の君ハ)夢の心地して見奉るにも、涙のみとどまらぬは、一つものとぞ見えざりける。年ごろよろづに嘆き沈み、さまざま憂き身と思ひ屈しつる命も延べまほしう、はればれしきにつけて、まことに住吉の神もおろかならず思ひ知らる。
思ふさまにかしづき聞こえて、心及ばぬこと、はた、をさをさなき人のらうらうじさなれば、( A )の寄せ・おぼえよりはじめ、なべてならぬ御ありさま・かたちなるに、( B )も、若き御心地に、いと心ことに思ひ聞こえ給へり。いどみ給へる( C )などは、この母君のかくて候ひ給ふを、 @瑕に言ひなしなどすれど、それに消たるべくもあらず。いまめかしう、並びなきことをばさらにも言はず、心にくくよしある御けはひを、はかなきことにつけても、あらまほしうもてなし聞こえ給へれば、( D )なども、めづらしきいどみどころにて、とりどりに候ふ人々も、心をかけたる女房の用意・ありさまさへ、いみじくととのへなし給へり。
上(紫ノ上)も、さるべき折ふしには参り給ふ。御仲らひあらまほしううちとけゆくに、 Aさりとてさし過ぎもの慣れず、侮らはしかるべきもてなし、はた、つゆなく、あやしくあらまほしき人のありさま・心ばへなり。
大臣(光源氏)も、長からずのみおぼさるる御世のこなたにとおぼしつる御参り、かひあるさまに見奉りなし給ひて、心からなれど、 B世に浮きたるやうにて見苦しかりつる宰相の君(夕霧)も、思ひなくめやすきさまに静まり給ひぬれば、御心落ちゐ果て給ひて、今は本意も遂げ Cなむとおぼしなる。対の上(紫ノ上)の御ありさまの見捨てがたきにも、中宮おはしませば、おろかならぬ御心寄せなり。この御方にも、世に知られたる親ざまには、まづ D思ひ聞こえ給ふべければ、 Eさりともとおぼし譲りけり。夏の御方(花散る里)の、時々にはなやぎ給ふまじきも、宰相のものし給へばと、みなとりどりにうしろめたからずおぼしなりゆく。
明けむ年、四十になり給ふ。御賀のことを、おほやけよりはじめ奉りて、大きなる世のいそぎなり。
問1 本文中から次に該当する語を抜き出し指示に従って記しなさい。
(1)入内するという意味の名詞の語。
(2)気がかりだという意味の形容詞の語を基本形にして。
(3)永年という意味の名詞の語。
(4)養育するという意味の動詞の語を基本形にして。
(5)格別だという意味の形容動詞の語を基本形にして。
(6)奥ゆかしいという意味の形容詞の語を基本形にして。
(7)ちょっとしたという意味の形容詞の語を基本形にして。
(8)主上という意味の名詞の語。
問2 空欄ABCDには次のどの語句が入るか。
イ 宮 ロ 殿上人など ハ おほかた ニ 下衆ども ホ 御方々の人
問3 @「瑕」のここでの具体的内容を記しなさい。
A「さりとてさし過ぎもの慣れず、侮らはしかるべきもてなし、はた、つゆなく」を現代語訳しなさい。
B「世に浮きたるやうにて見苦しかりつる」とはどういう状態をそう言っているのか、漢字二字で記しなさい。
問4 C「なむ」と同用法となる「なむ」はどれか。例文の記号二つを挙げなさい。
イ いまひとたびのみゆき待たなむ
ロ 寄する波打ちも寄せなむわが恋ふる人忘れ貝下りて拾はむ
ハ 願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ
ニ 盛りにならば、かたちも限りなくよく、髪もいみじく長くなりなむ。
ホ 名をばさかきの造となむいひける。
ヘ かねてより思ひかけし事になむ。
ト かくて急ぐほどに、ふぶきますます甚だしく、橇(そり)を履くゆゑ道遅く、日もすでに暮れなむとす。
問5 D「思ひ聞こえ給ふ」について敬語法の観点から説明しなさい。人物に関しては次の呼び方をすること。
帝 東宮 光源氏 夕霧 姫君 紫の上 明石の君 作者
問6 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮の名・中宮の父親の名を順に記しなさい。
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