昔、男、 A初冠して、平城の京、春日の里に、しるよしして、狩りにいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。この男、かいま見てけり。 B思ほえず、ふるさとにいとはしたなくてありければ、心地惑ひにけり。男の、着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。その男、しのぶずりの狩衣をなむ着たりける。
C春日野の若紫のすり衣しのぶの乱れ限り知られず
となむ、追ひつきて言ひやりける。ついでおもしろきことともや思ひけむ。
みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑに乱れそめにし我ならなくに
といふ歌の心ばへなり。 D昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。
問1 A初冠について、@ 読みを現代仮名遣いの平仮名で記しなさい。 A これと同じ意味を持つ女性の儀式の名を漢字2字で記しなさい。
問2 B思ほえず、ふるさとにいとはしたなくてありければを現代語訳しなさい。
問3 C春日野の若紫のすり衣しのぶの乱れ限り知られずの歌で使われている掛詞について説明しなさい。
advanced Q. D昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。について次の問いに答えなさい。
(1) Dかくいちはやきみやびとは、「男」のどのような行為を言うものか。3点で説明しなさい(それぞれ15〜25字とします)。
(2)現状に対するどういう思いが暗に言われているのか説明しなさい。
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