源氏物語「小柴垣のもと/日もいと長きに」(若紫)2/2 問題

 尼君、「いで、あなをさなや。言ふかひなうものし給ふかな。おのが、かく今日明日におぼゆる命をば、何ともおぼしたらで、雀慕ひ給ふほどよ。罪得ることぞと、常に聞こゆるを、心憂く。」とて、「こちや。」と言へば、ついゐたり。つらつきいとらうたげにて、まゆのわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪ざし、いみじううつくし。 Aねびゆかむさまゆかしき人かなと、目とまり給ふ。さるは、限りなう心を尽くし聞こゆる人に、いとよう似奉れるが、まもらるるなりけりと、思ふにも涙ぞ落つる。
 尼君、髪をかきなでつつ、「けづることをうるさがり給へど、をかしの御髪や。いとはかなうものし給ふこそ、あはれにうしろめたけれ。かばかりになれば、いと Bかからぬ人もあるものを。故姫君は、十ばかりにて殿に Cおくれ給ひしほど、いみじうものは思ひ知り給へりしぞかし。ただ今、おのれ見捨て奉らば、いかで世におはせむとすらむ。」とて、いみじく泣くを見給ふも、すずろに悲し。をさな心地にも、さすがにうちまもりて、伏し目になりてうつぶしたるに、こぼれかかりたる髪、つやつやとめでたう見ゆ。
  D生ひ立たむありかも知らぬ若草をおくらす露ぞ消えむそらなき
またゐたる大人、「げに。」とうち泣きて、
  Eはつ草の生ひゆく末も知らぬまにいかでか露の消えむとすらむ
と聞こゆるほどに、僧都あなたより来て、 G「こなたはあらはにや侍らむ。今日しも、端におはしましけるかな。この上の聖の方に、源氏の中将の、わらはやみまじなひにものし給ひけるを、ただ今なむ聞きつけ侍る。いみじう忍び給ひければ、知り侍らで、ここに侍りながら、御とぶらひにもまうでざりける。」とのたまへば、「あないみじや。いとあやしきさまを、人や見つらむ。」とて、簾下ろしつ。「この世にののしり給ふ光源氏、かかるついでに見奉り給はむや。世を捨てたる法師の心地にも、いみじう世の憂へ忘れ、よはひ延ぶる人の御ありさまなり。いで、御消息聞こえむ。」とて立つ音すれば、帰り給ひぬ。【若紫】

問1 Aねびゆかむさまゆかしき人かな、Cおくれ給ひしほどを現代語訳しなさい。★★

問2 Bかからぬ人を具体的に述べている次の文の空欄に、漢字2字の熟語を記しなさい。★★★
   【  @  】ではなく、何事にも【  A  】がある人。

問3 D歌で「若草」「露」とはそれぞれ何の比喩になっているのか、順に記しなさい。★★

問4 E歌はどういう気持ちが詠まれているのか、25〜35字で「…気持ち」という言い方で記しなさい。★★★

問5 「源氏物語」の成立した時代・作者名・全巻数の数(算用数字)を順に記しなさい。★

advanced Q. G「こなたはあらはにや侍らむ。今日しも、端におはしましけるかな。この上の聖の方に、源氏の中将の、わらはやみまじなひにものし給ひけるを、ただ今なむ聞きつけ侍る。いみじう忍び給ひければ、知り侍らで、ここに侍りながら、御とぶらひにもまうでざりける。」の敬体の語を常体にして、全体を書き改めなさい。

源氏物語「小柴垣のもと/日もいと長きに」(若紫)2/2 解答用紙(プリントアウト用) へ

源氏物語「小柴垣のもと/日もいと長きに」(若紫)2/2 解答/解説 へ

源氏物語「小柴垣のもと/日もいと長きに」(若紫)2/2 現代語訳 へ



源氏物語「小柴垣のもと/日もいと長きに」(若紫)1/2 問題 へ



現代文のインデック 古文のインデックス 古典文法 漢文 トップページ