徒然草「丹波に出雲といふ所あり」(二百三十六段) 問題

 丹波に出雲といふ所あり。大社を移して、めでたく造れり。しだのなにがしとかや aしる所なれば、秋のころ、聖海上人、そのほかも、人あまた誘ひて、「いざ、たまへ、出雲拝みに。かいもちひ召させむ。」とて、具しもて行きたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。
 b御前なる獅子・狛犬、背きて、後ろさまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子の立ちやう、いとめづらし。深きゆゑあらむ。」と涙ぐみて、「いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じとがめずや。むげなり。」と言へば、おのおの cあやしみて、「まことに他に異なりけり。都のつとに語らむ。」など言ふに、上人なほ dゆかしがりて、おとなしくもの知りぬべき顔したる神官を呼びて、「この御社の獅子の立てられやう、さだめて習ひあること eはべらむ。ちと f承らばや。」と言はれければ、「そのことに候ふ。さがなき童べどものつかまつりける、奇怪に候ふことなり。」とて、さし寄りて、すゑ直して往 gければ、上人の感涙いたづらになり hけり。 (第二三六段)

問1 aしる  cあやしみ  dゆかしがりの意味を記しなさい。活用語は基本形の形で答えること。★

問2 e g h「」の文法上の異同について説明しなさい。★★

問3 f承らにつて、文中での敬語としての用法を分かりやすく、かつ、簡潔に説明しなさい。★★

問4 b御前なる獅子・狛犬、背きて、後ろさまに立ちたりけれについて、そうなっているわけを述べている15〜20字の箇所をを文中から抜き出しなさい。★★

問5 聖海上人はどのような性格の人間として描かれているか、説明しなさい。★★★

問6 問題本文の筆者名を漢字2字で、また、成立した時代を次から選び記号で記しなさい。
    イ 奈良  ロ 平安  ハ 鎌倉  ニ 室町  ホ 江戸  へ 明治



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徒然草「丹波に出雲といふ所あり」 解答/解説

徒然草「丹波に出雲といふ所あり」 口語訳



徒然草「丹波に出雲といふ所あり」(二百三十六段) exercise

【一】次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。(50点)
 丹波に出雲といふ所あり。大社を移して、@めでたく造れり。しだのなにがしとかやしる所なれば、秋のころ、聖海上人、そのほかも、人あまた誘ひて、「いざ、たまへ、出雲拝みに。かいもちひ召させむ。」とて、A具しもて行きたるに、おのおの拝みて、Bゆゆしく信おこしたり
 御前(a)なる獅子・狛犬、背きて、後ろさまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子の立ちやう、いとめづらし。深きゆゑあらむ。」 と涙ぐみて、「いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じとがめずや。むげなり。」 と言へば、おのおのCあやしみて、「まことに他に異なりけり。都のつとに語らむ。」など言ふに、上人なほゆかしがりて、おとなしくものD知りぬべき顔したる神官を呼びて、「この御社の獅子の立てられやう、さだめて習ひあることにはべらむ。ちと(b)承らばや。」と言はれければ、「そのことに候ふ。さがなき童べどもの(c)つかまつりける、奇怪に候ふことなり。」とて、Eさし寄りて、すゑ直して往にければ、上人の感涙いたづらになりにけり。

問一 傍線部@BCを現代語に訳しなさい。

問二 傍線部AEの主語は何か、本文中のことばで答えなさい。

問三 傍線部(a)「なる」の意味として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
   (ア) 断定  (イ) 存在  (ウ) 伝聞  (エ) 完了

問四 傍線部Dを品詞分解しなさい。

問五 傍線部(b)(c)は、それぞれだれの、だれに対する敬意を表しているか、答えなさい。



【ニ】次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。(50点)
 丹波に出雲といふ所あり。大社を移して、めでたく造れり。しだのなにがしとかやしる所なれば、秋のころ、聖海上人、そのほかも、人あまた@誘ひて、「いざ、たまへ、出雲拝みに。かいもちひ召させむ。」とて、具しもて行きたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。
 御前なる獅子・狛犬、背きて、後ろさまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子の立ちやう、Aいとめづらし。深きゆゑあらむ。」と涙ぐみて、「いかに殿ばら、B殊勝のことは御覧じとがめずや。Cむげなり。」と言へば、おのおのあやしみて、「まことに他に異なりけり。D都のつとに語らむ。」など言ふに、上人なほゆかしがりて、おとなしくもの知りぬべき顔したる神官を呼びて、「この御社の獅子の立てられやう、さだめて習ひあることにはべらむ。ちと承らばや。」と言はれければ、「そのことに候ふ。Eさがなき童べどものつかまつりける、奇怪に候ふことなり。」とて、さし寄りて、すゑ直して往にければ、上人の感涙いたづらになりにけり。

問一 傍線部@の主語は何か、本文中のことばで答えなさい。

問二 傍線部Aについて、次の問いに答えなさい。
   1 何が「めづらし」いのか、具体的に記しなさい。
   2 その対象が「めづらし」かったのは、結局どのような原因によるものであったか、簡潔に説明しなさい。

問三 傍線部B〜Eを現代語に訳しなさい。

問四 「聖海上人」が感動した気持ちは会話のどのことばに最もよく表れているか、本文中から抜き出しなさい。

問五 「聖海上人」はどのような性格の人間として描かれているか、説明しなさい。

問六 筆者は、この文章で何に批判を加えようとしているか、簡潔にまとめなさい。

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