更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」  問題

  あづまぢの道のはてよりも、なほおくつかたに生ひいでたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめけることにか、世の中に物語といふ物のあんなるを、 @いかで見ばやと思ひつゝ、つれゞゝなるひるま、宵居などに、姉、継母などやうの人々の、その物語、かの物語、ひかる源氏のあるやうなど、ところゞゝ語るを聞くに、Aいとゞゆかしさまされど、わが思ふまゝに、そらに いかでかおぼえ語らむ。いみじく心もとなきまゝに、等身に薬師仏をつくりて、 B手あらひなどして、人まにみそかに入りつゝ、京にとくあげ給ひて、物語のおほく候ふ Cなる、あるかぎり見せ給へと、身を捨てて額をつき、祈り申すほどに、十三になる年、のぼらむとて、九月三日門出して、いまたちといふ所にうつる。
 年ごろあそび馴れつるところを、あらはにこほち散らして、たちさわぎて、日の入りぎはの、いとすごくきりわたりたるに、車に乗るとて、うち見やりたれば、人まにはまゐりつつ、額をつきし D薬師仏のたち給へるを、見捨てたてまつる悲しくて、人しれずうち泣かれぬ

問1 本文中で同格の格助詞の語が使われているのはどこか、それを含む文節を抜き出して答えなさい。

問2 @いかで見ばやとAいとゞゆかしさまされどを現代語訳しなさい。

問3 B手あらひなどしては、何のためにそうしたのか、説明しなさい。

問4 Cなると同用法となるものを次のa〜fから選びなさい。
   ・ 見目のよににくさげ aなる人 bなりけり。
   ・ ませ(垣根)うち cなる白菊も…
   ・ 侍従の大納言の女なく dなりたまひぬ eなり
   ・ 猫の経上りて、猫またに fなり

Advanced Q.1  D薬師仏のたち給へるを、見捨てたてまつる悲しくて、人しれずうち泣かれぬとあるが、「薬師仏」はどんなことをしてくれたと考えられているのか、35〜45字で説明しなさい。

Advanced Q.2
  (1)作者自身を第三者的に叙述したことをよく表している助動詞が二つある。その助動詞を、本文中から抜き出し、終止形で答えよ。

  (2)この第三者的叙述から、作者自身の口調に戻っていることがよくわかる語句がある。その語句を本文中から抜き出しなさい。


更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」 解答用紙(プリントアウト用) へ

更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」 解答/解説 へ

更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」 口語訳 へ




更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」  exercise

 @あづまぢの道のはてよりも、なほおくつかたに生ひいでたる人、 Aいかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめけること aか、世の中に物語といふ物のあん bなるを、 Bいかで見ばやと思ひつゝ、つれづれ cなるひるま、宵居などに、姉、継母などやうの人ゞゝの、その物語、かの物語、ひかる源氏のあるやうなど、ところゞゝ語るを聞くに、 Cいとゞゆかしさまされど、わが思ふまゝに、 Dそらにいかでかおぼえ語らむ。いみじく心もとなきまゝに、等身に薬師仏をつくりて、 手あらひなどして、人まにみそかに入りつゝ、京にとくあげ給ひて、物語の Eおほく候ふなる、あるかぎり見せ給へと、身を捨てて額をつき、祈り申すほどに、十三に dなる年、のぼらむとて、 e九月三日門出して、いまたちといふ所にうつる。
 年ごろあそび馴れつるところを、あらはにこほち散らして、たちさわぎて、日の入りぎはの、いとすごくきりわたりたるに、車に乗るとて、うち見やりたれば、人まにはまゐりつつ、額をつきし薬師仏のたち給へ fを、見捨てたてまつる悲しくて、人しれずうち泣か gぬ。

問1 afgの助動詞について、その意味・終止形・活用形の名を答えなさい。

問2 eの読み(異名)をひらがなで記しなさい。

問3 bcdと同用法となるものは次のどれか、
    ・見目のよににくさげ(イ)なる人(ロ)なりけり。
    ・侍従の大納言の女なく(ハ)なりたまひぬ(ニ)なり
    ・猫の経上りて、猫またに(ホ)なり

問4 本文中の謙譲の動詞はどれか。ただし、補助動詞は除く。終止形にしたもの記し、敬意の方向(誰から誰に)も記しなさい。

問5 本文中で同格の助詞の語が使われているのはどこか。その語を含む文節を抜き出しなさい。

問6 傍線部@は、「あづま路の道の果てなる常陸帯のかごとばかりもあひみてしがな」(『古今六帖』)をふまえて書かれたものである。
   (1)この古歌には序詞が用いられている。序詞の部分を抜き出し、初めと終わりの二字で答えよ。

   (2)(A)「あづま路の道の果て」・(B)「なほ奥つ方」は、どこの国を意味しているか。適当なものをそれぞれ次の中から選び、記号で答えよ。

       ア 武蔵  イ 駿河  ウ 上総  エ 相模  オ 常陸

   (3)「生ひ出でたる人」とは、実は誰なのか。漢字で記しなさい。

   (4)作者自身を第三者的に叙述したことをよく表している助動詞が二つある。その助動詞を、本文中から抜き出し、終止形で答えよ。

   (5)この第三者的叙述から、作者自身の口調に戻っていることがよくわかる語句がある。その語句を本文中から抜き出しなさい。

問7 ABCDEを現代語訳しなさい。

問8 傍線部「手あらひなどして」は、何のためにそうしたのか、説明しなさい。

問9 結末部の「薬師仏のたち給へるを、見捨てたてまつる悲しくて、人しれずうち泣かれぬ」とあるが、「薬師仏」はどんなことをしてくれたと考えられているのか、35〜45字で説明しなさい。

問10 この文章を簡潔に批評すると、どのような評語が最も適当か。次の中から選び、記号で答えよ。

     ア 内省的  イ 宗教的  ウ 現実的  エ 夢想的  オ 演繹的

更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」 exercise 解答用紙(プリントアウト用) へ

更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」 解答/解説 へ

更級日記「門出(あづまぢの道の果てよりも)」現代語訳 へ





トップページ 現代文のインデックス 古文のインデックス 古典文法のインデックス 漢文のインデックス 小論文のインデックス



「小説〜筋トレ国語勉強法」 「評論〜筋トレ国語勉強法」

マイブログ もっと、深くへ ! 日本語教師教養サプリ


プロフィール プライバシー・ポリシー  お問い合わせ