大鏡「面をや踏まぬ」(道長伝) 現代語訳

原文
 「四条大納言(藤原公任)のかく何事もすぐれ、めでたくおはしますを、大入道殿(藤原兼家)、「いかでかかゝらん。うらやましくもあるかな。わがこどもの、かげだにふむベくもあらぬこそ、くちおしけれ」と申させ給ければ、中関白殿(藤原道隆)・粟田殿(藤原道兼)などは、「げにさもとやおぼすらん」と、はづかしげなる御けしきにて、ものものたまはぬに、この入道殿(藤原道長)は、いとわかくおはします御身にて、「かげをばふまで、つらをやはふまぬ」とこそおほせられけれ。まことにこそさおはしますめれ。内大臣殿(藤原教通)をだに、ちかくてみたてまつりたまはぬよ。

現代語訳
 公任殿がこのように何事に秀で、すばらしくいらっしゃることを、大入道殿が「(公任殿は)どうしてあのように諸芸に通じているのであろう。うらやましいことよ。道隆・道兼・道長が、公任殿の影さえ踏めそうにないのはまったく無念のことだ。」と申し遊ばしたので、道隆公・道兼公などは、「いかにもそのように、おぼしめすことであろうよ。」と恥ずかしげなご様子で、一言も仰らない折に、この道長公は、大変若くていらっしゃる身でありながら、「影など踏まないが、顔なら踏んづけてやるさ」と仰せられたそうですが、本当にそのお言葉通りになったようですね。(公任殿は)教通さまさえ、近寄ってお顔をお見上げできない有様ですよ。


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