枕草子「村上の先帝の御時に」(百八十二段) 問題

 村上の先帝の御時に、雪のいみじう降りたりけるを、様器に盛らせ給ひて、梅の花をさして、月のいと明かきに、「これに歌よめ。いかが言ふべき。」と、兵衛の蔵人に給はせたりければ、「 A雪・月・花の時」と奏したりけるをこそ、いみじうめでさせ給ひけれ。「歌などよむは世の常なり。かく、折に合ひたることなむ、言ひがたき。」とぞ仰せられける。
 同じ人を御供にて、 B殿上に人候はざりけるほど、たたずませ給ひけるに、炭櫃にけぶりの立ちければ、「 Cかれは何ぞと見よ。」と仰せられければ、見て帰り参りて、
  Dわたつ海のおきにこがるる物見ればあまの釣りしてかへるなりけり
と奏しけるこそをかしけれ。蛙の飛び入りて焼けるなりけり。
   ※ 参照 「琴詩酒友皆抛我 雪月花時最憶君」(『白氏文集』)

問1 本文中に動詞の活用を意図的に誤用した箇所がある。それはどの語か、正したものを記しなさい。★

問2 A雪・月・花の時で暗に言おうとしたことはどういうことか、簡潔に記しなさい。★★

問3 B殿上に人候はざりけるほどという状況設定が、以下の展開において必要だった理由を二つ述べなさい★★★

問4 Cかれは何ぞと見よを文意に即して現代語訳しなさい。★★

問5 Dわたつ海のおきにこがるる物見ればあまの釣りしてかへるなりけりでは「沖」と「燠(赤く熱した炭火)」のほかに二つ掛詞がある。その掛詞を、漢字を用いて『「○○」と「○○」』という言い方で記しなさい。★★

問6 「枕草子」の作者名・ジャンル名・成立した時代・作者が仕えた主人の名(2字)を順に記しなさい。時代は、前・中・後期まで答えること。★

advanced Q. A雪・月・花の時で、このような言い方をしたのはなぜか、簡明に説明しなさい。

枕草子「村上の先帝の御時に」 解答用紙(プリントアウト用)

枕草子「村上の先帝の御時に」 解答/解説

枕草子「村上の先帝の御時に」 現代語訳




枕草子「村上の先帝の御時に」(百八十二段) exercise

 村上の先帝の御時に、雪のいみじう降りたりけるを、様器に盛らせ給ひて、梅の花をさして、月のいと明かきに、「 Aこれに歌よめ。 aいかが言ふべし。」と、兵衛の蔵人に給はせたりければ、 @「雪・月・花の時」と奏したりけるをこそ、いみじうめでさせ給ひけれ。「 B歌などよむは世の常なり。かく、折に合ひたることなむ、(    )。」とぞ仰せられける。
 同じ人を御供にて、殿上に人候はざりけるほど、たたずませ給ひけるに、火櫃にけぶりの立ちければ、 A「かれは何ぞと見よ。」と仰せられければ、見て帰り参りて、
  Bわたつ海のおきにこがるる物見ればあまの釣りしてかへるなりけり
と奏しける(    )をかしけれ。蛙の飛び入りて焼くるなりけり。

問1 a「いかが言ふべし」では意図的に活用の誤用をおかしている。その語はどれか、正したものを記して答えなさい。

   bの空欄に「言ひ難し」を適当な形にして記しなさい。

   cの空欄に適当な助詞を記しなさい。

問2 A・Bについて、次の問いに答えよ。

  (1)A・Bは、どういう意味か。適当なものをそれぞれ次の中から選び、記号で答えよ。

    A ア ここで、ただちに和歌をよめ。  イ この梅の花を和歌によめ。
      ウ これについて歌をよめ。     エ これについてふさわしい古歌をいえ。

    B ア 世間一般の人ならば、和歌をよむところである。
      イ 和歌などよむのはごくありふれたことである。
      ウ 古歌などを言うのはなみなみでないことである。
      エ 和歌などよむのは男女の間でのならわしである。

  (2)AとBとをこの文章の中で見比べたとき、A・B二文の関係の説明として適当なものを次の中から選び、記号で答えよ。

      ア Aの文で思っていたことが、そのとおりになったので、Bの文では、驚き、失望している。
      イ Aの文で思っていたことが、そのとおりではなかったので、Bの文では、驚き、感心している。
      ウ Aの文で思っていたことにかかわりなく、Bの文では、和歌についての考えを述べている。
      エ Aの文で思っていたことが、全くはずれたので、Bの文では、あらためて考えなおそうとしている。

問3  @「「雪・月・花の時」と奏したりけるをこそ、いみじうめでさせ給ひけれ」について、次の問いに答えよ。

   (1)「いみじうめでさせたまひけれ」とあるが、だれが、何を、「めで」たのか。それぞれ本文中の言葉で解答用紙の形式に従って記しなさい。

   (2)「雪・月・花の時」は、「琴詩 ノ酒 ハ友皆なげうツ抛レ ヲ我。雪月 ノ花時 モ最 フ憶レ ヲ君。」(『白氏文集』)をふまえている。「雪・月・花の時」とだけ言っているが、暗に言わんとしたのはどのようなことか。『白氏文集』の言葉で、白文で答えよ。

問4 A『「かれは何ぞと見よ。」と仰せられければ』について、次の問いに答えよ。

   (1)「かれは何ぞと見よ」とあるが、どのような意味か。わかりやすい現代語の会話文に改めよ。

   (2)話し合っている人の身分関係を示す語で、「仰せ」に対応している語を本文中から抜き出し、終止形で答えよ。

問5 B「わたつ海のおきにこがるる物見ればあまの釣りしてかへるなりけり」の歌について、次の問いに答えよ。

   (1)この歌には、相互に深い関係を持ち、ある情景を思い浮かべさせるうえで有効な一群の語が用いられている。その修辞法を歌に即して説明しなさい。

   (2)「おき」と「燠(赤く熱した炭火)」のほかに二つ掛詞がある。その掛詞を漢字を用いて「○○」と「○○」という言い方で記しなさい。

   (3)三つの掛詞に留意し、この歌から、仰せ言に対する返事となっている部分を抜き出せ。ただし、不用の語はすべて省略し、適切な漢字を用いて、返事としてよくわかるように表すこと。

問6 この話の中で、作者の主観が最もよく表れている一語を抜き出せ。

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