中島敦「山月記」(後編) ヒント

 着目すべき本文の箇所に蛍光ペンなどでチェックしながら考えてね。

問1 これも文中の語・語句をいい加減にして読み進めていたのでは、答えられない。「自尊心」「尊大」「切磋琢磨」「碌々として瓦に伍する」の辞書的な意味、本文では何を言うものか、もう一度確認。直後に「おれは詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、また、おれは俗物の間に伍することも潔しとしなかった」「ともに、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである」。さらに続けて、「己の珠にあらざることを惧れるがゆえに、あえて刻苦して磨こうともせず、また、己の珠なるべきを半ば信ずるがゆえに、碌々として瓦に伍することもできなかった。」と、行為とその内面が比喩を用いて語られている。「珠」「瓦」が何を比喩するのか、しっかりとらえる。これも出題される。すぐに「解答」に飛ばないで、正確に読み込み、深く考え、簡潔にまとめる。筋力が確実につく!

問2 これは基本問題。「己の珠にあらざるこを惧れる」の同内容の別表現として、「才能の不足を暴露するかもしれないとの卑怯な危惧」とあるけど…?

問3 同段に「今思えば、全く、おれは、おれの持っていたわずかばかりの才能を空費してしまったわけだ。人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかもしれないとの卑怯な危惧と、刻苦をいとう怠惰とがおれのすべてだったのだ。おれよりもはるかに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者がいくらでもいるのだ。」とある。ここに着目して字数制限内でまとめる。

問4 「意に添う」とは、希望に応じるということ。李徴は何を希望したのかな…?前段に「お別れする前にもう一つ頼みがある」とある。早とちりしないで正確に読もう。ここでは、李徴の作った漢詩を伝録することは除いて考える。

問5 まず、「残月の光を頼りに」→「残月、光冷ややかに」→「ようやく辺りの暗さが薄らいできた」→「すでに白く光を失った月」と「月」の描写がさりげなくされてきたことに気づいていたかな…?時間の経過をそれとなく読者にインプットしている。芥川龍之介が『羅生門』で雨やきりぎりすによってそうしたのと同じ手法。
 さらに、「象徴」とは、具体的なものと抽象的なものを何らかの類似性に基づいて関連付けること。たとえば、「薔薇」(具体)は「清純な愛」(抽象)の花言葉(=象徴)であるのと同じ。ここでは、「李徴のどういうことの象徴となっていると考えられるか」という問。「すでに白く光を失った月」には、ある状況とか心理が象徴されている。「すでに白く光を失った月」にどういう印象を持つかな…?月は程なく姿を消してしまう…。冷ややか。淋しげ。哀しげ。心もとなさ…。この問もすぐに「解答」に飛ばないで、深く考え、簡潔にまとめてみよう。



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