宇治拾遺物語「児のそら寝」　　 問題

　 　今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵の　aつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心よせに聞きけり。さりとて、　�@し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、 bひしめき合ひたり。
　この児、　�Aさだめておどろかさむずらむと、待ちゐたるに、僧の、「　�Bもの申しさぶらはむ。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、いま一声呼ばれて cいらへむと、 d念じて寝たるほどに、「や、　�Cな起こしたてまつりそ。をさなき人は、寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あな、eわびしと思ひて、いま一度起こせかしと、思ひ寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、　僧たち笑ふこと限りなし。

問１　aつれづれ・ bひしめき合ひ・cいらへ・d念じ・eわびしの意味を、活用語は基本形にして記しなさい。

問２
　　�@し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむを、「わろかりなむ」と思う根拠を明らかにして口語（現代語）訳しなさい。
　　�Aさだめておどろかさむずらむ・�Cな起こしたてまつりそ口語（現代語）訳しなさい。

問３　�Bもの申しさぶらはむの読みとして適当なものを次から選び記号で答えなさい。
　　　　（あ）モノマウシサブラハム　　（い）モノモーシサブラワン
　　　　（う）モノモオシサブラワム　　（え）モノモウシサブラハン





advanced Q.　僧たち笑ふこと限りなしについて、「僧たち」が笑ったのはなぜか。２０字以内で説明しなさい。

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