忘れ貝/亡児(土佐日記) 口語訳
四日。船頭が「今日は風や雲の具合がとても悪い」と言って、船を出さずじまいになりました。それなのにまあ、終日波も風も立ちません。この船頭は天気の具合も推測できないでくの坊だったんですね。この停泊地の浜には、いろいろ美しい貝や、石などがたくさんあります。そういうものを見るにつけても、ただもう亡き子のことばかりが恋しくなって、船中の人が詠んだのは、
浜辺に打ち寄せる波よ、(同じことなら恋しい人を忘れるという忘れ貝を)打ち寄せておくれ。(そうしたら)私が恋い慕う人を忘れるために、その船から下りて拾いもしましょうよ
と言いますと、ある人が堪えられず、船旅の気晴らしに詠みましたのは、
いまさら、忘れ貝を拾ったりしますまい。せめて、白珠のようなあの子を(このように)恋いつづけている気持ちだけでも(あの子の)形見と思いましょうよ。(忘れ貝を拾って忘れてしまうようなことはしたくありません。)
とまあ詠んだことです。娘のためには、親は子供のように分別がなくなってしまいそうです。「珠というほどでもなかったろうに」と人は言うかもしれません。ですけれど、「死んだ子は顔が美しかった」ということもありますもの。いぜん同じ場所で日を過ごすのを嘆いて、ある女が詠みました歌は、
手を浸しても冷たさも感じない(名ばかりの)の泉(和泉の国)で、(水を)くむこともなく、無為に日々を過ごしてしまったことです。
advanced Q. B女兒のためには親をさなくなりぬべしについて、
(1)口語訳しなさい。 (2)どうことに対してそう言っているのか、簡潔に説明しなさい。
advanced Q. C手をひでゝ寒さも知らぬ泉にぞ汲むとはなしに日ごろ經にけるの歌にはどういう気持ちが詠まれているのか。ただし、直前の「おなじ所」とは和泉のある船着場である。
PDFとは
実践問題購入メール*ルールやマナーを逸脱していると判断されるメールは、以後、送受信不可となる場合があります。*
◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆
忘れ貝/亡児(土佐日記)を Seek Deeply!もっと、深くへ!
◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆
「忘れ貝/亡児」 問題へ
「忘れ貝/亡児」 解答へ
「忘れ貝/亡児」 解答用紙へ