「竹取物語」『かぐや姫の昇天』1/2  現代語訳

 竹取の翁が心れて泣き伏している所に寄って、かぐや姫が言うには、「私も、心ならずも、このように行くのですから、せめて昇天するのだけでもお見送りください。」と言うが、(翁は)「どうして、こんなに悲しいのに、お見送り申し上げようか(お見送り申し上げることなど出来ません)。私をどのようにせよというつもりで、見捨てて昇天なさるですか。一緒に連れておいでになってください。」と泣き伏しているで、(かぐや姫も)お心が乱れてしまう。(かぐや姫は)「手紙を書き置いておいとましましょう。恋しく思われるような折々に、取り出して御覧下さい。」と言って、泣きながら次のように書き置きをした。
「(私が)この(人間の)国に生まれたということならば、(両親を)嘆かせ申しあげない時までお仕えしましょう。(滞在期間が)過ぎて、別れてしまうことは、返す返すも残念に思われます。脱ぎ置く着物を(私の)形見と思って御覧下さい。月が出た夜は、(私のおります月のほうを)ご覧下さい。(両親を)お見捨て申しあげて参ります、(途中の)空からも落ちてしまいそうな気持ちが致します。」
と書き置く。
 天人の中(のある者)に持たせている箱がある。天の羽衣が入っている。また別のには、不死の薬が入っている。一人の天人が言うには、「壺にあるお薬お飲みください。けがれた所のものを召し上がったので、お気持ちが悪いことでしょう。」と言って、(薬を)持ってそばに寄ったので、(かぐや姫は)ほんの少しおなめになって、(残りを)少し形見にと思って、脱いでおく着物に包もうとすると、そこにいる天人が包ませない。


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