その十三日の夜、月いみじくくまなくあかきに、みな人も寝たる夜中ばかりに、縁に出でゐて、姉なる人、空をつくづくと眺めて、「たゞ今ゆくヘなく飛びうせぬれば、いかゞ思ふべき」と問ふに、なまおそろしと思へるけしきを見て、ことごとにいひなして笑ひなどして聞けば、かたはらなる所に、A前駆おふ車とまりて、「Bをぎの葉、をぎの葉」と呼ばすれど、こたヘざなり。呼びわづらひて、笛をいとをかしく吹きすまして、C過ぎぬなり。
笛のねのたゞ秋風ときこゆるになどをぎの葉のそよとこたヘぬ
といひたれば、げにとて、
Dをぎの葉のこたふるまでも吹きよらでたゞに過ぎぬる笛の音ぞ憂き
かやうにあくるまでながめあかいて、夜あけてぞみな人寝ぬる。
問1 本文中で意図的に文法上誤用をおかしている。その語はどれか、正したものを記して答えなさい。
問2 本文中で音便が生じてる語があるが、それはどれか。音便の種類の名と本来の形にしたものを記して答えなさい。
問3 A前駆の読みをひらがなで記しなさい。
問4 Bをぎの葉は、ここでは何を意味する言葉か、具体的に記しなさい。
問5 C過ぎぬなりを現代語訳しなさい。
問6 Dをぎの葉のこたふるまでも吹きよらでたゞに過ぎぬる笛の音ぞ憂きという歌は、誰の誰についてのどういう感想になっているのか。
問7 「更級日記」の作者は誰か、また、成立した時代はいつか。そして、そのおばにあたり、主に夫藤原兼家との結婚生活を回想して書いた作品を残した人の名とその作品名を順に記しなさい。
advanced Q. 笛のねのたゞ秋風ときこゆるになどをぎの葉のそよとこたヘぬについて
(1)誰が詠んだものか。(2)この歌の主旨を『…は…べきだったのに。』という言い方で40字を越えない字数で説明しなさい。
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更級日記「をぎの葉(その十三日の夜)」 解答用紙(プリントアウト用)
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