公任殿がこのように何事に秀で、すばらしくいらっしゃることを、大入道殿が「(公任殿は)どうしてあのように諸芸に通じているのであろう。うらやましいことよ。道隆・道兼・道長が、公任殿の影さえ踏めそうにないのはまったく無念のことだ。」と申し遊ばしたので、道隆公・道兼公などは、「いかにもそのように、おぼしめすことであろうよ。」と恥ずかしげなご様子で、一言も仰らない折に、この道長公は、大変若くていらっしゃる身でありながら、「影など踏まないが、顔なら踏んづけてやるさ」と仰せられたそうですが、本当にそのお言葉通りになったようですね。(公任殿は)教通さまさえ、近寄ってお顔をお見上げできない有様ですよ。
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