小式部内侍が大江山の歌の事(「古今著聞集」)  問題

  和泉式部、保昌が妻にて丹後に下りけるほどに、京に歌合ありけるに、小式部内侍、歌よみにとられてよみけるを、定頼の中納言、たはぶれに小式部内侍に、「A丹後へつかはしける人は参りにたるや。」と言ひ入れて、局の前を過ぎられけるを、小式部内侍、B御簾よりなかば出でて、直衣の袖をひかへて、

  C大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天橋立

とよみかけけり。思はずにあさましくて、「こはいかに。」とばかり言ひて、返しにも及ばず、袖をひきはなちて逃げられにけり。小式部、これより歌よみの世おぼえ出で来にけり。

問1 問題本文中で使われている上一段活用の動詞はどの語か。その基本形と文中での活用形の名を答えなさい。

問2 A丹後へつかはしける人は参りにたるや。の「丹後へつかはしける」とは、何のためそうしたというのか説明しなさい。

問3 B御簾の読みを現代仮名遣いで記しなさい。

問4 C大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天橋立について、
   (1) 使われている掛詞を説明しなさい。何が掛けられているか分かりやすいようできる限り漢字を用いること。
   (2) 使われている縁語はどれか。分かりやすいようできる限り漢字を用いること。

問5 この話の面白さは次のどれに最も近いか、記号で答えなさい。
    イ 当意即妙の機知  ロ 繊細優美な叙景  ハ 詠歌への執着  ニ 自由闊達な着想  ホ 権威に臆さない自立心



Advanced Q.1 C大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天橋立で、「天橋立」が詠み込まれている理由を簡潔に説明しなさい。

Advanced Q.2 袖をひきはなちて逃げられにけりで、定頼がそうしたのはなぜか説明しなさい。




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