源氏物語「御簾の透影 3/3」(若菜上)   問題

 光源氏41歳。病重く、出家の志が強い兄朱雀院のたっての希望により、女三宮を正室として迎え入れた。そのことで深く傷ついた紫の上との間に立って、悩んでいる。かねて女三宮に思いを寄せていた柏木(「衛門督」。かつての頭中将、現在は太政大臣の子息)は、光源氏と女三宮との間柄が疎遠になっていることを知り、ますます思いを募らせるのであった。源氏の六条院におおぜい集まって蹴鞠の遊びがあり、 柏木は女三宮の姿を偶然目にする。そのことに夕霧(「大将」、源氏の子息)は気づいている。




 大殿御覧じおこせて、 「 A上達部の座、いと軽々しや。こなたにこそ」 とて、対の南面に入りたまへれば、みなそなたに a参りたまひぬ。宮もゐ直りたまひて、御物語したまふ。次々の殿上人は、 b簀子に円座召して、わざとなく、椿餅、梨、柑子やうのものども、さまざまに箱の蓋どもにとり混ぜつつあるを、若き人びとそぼれ取り食ふ。さるべき乾物ばかりして、御 c土器 d参る
 衛門督は、いといたく思ひしめりて、ややもすれば、花の木に目をつけて眺めやる。大将は、心知りに、あやしかりつる御簾の透影思ひ出づることやあらむと思ひたまふ。 Bいと端近なりつるありさまを、かつは軽々しと思ふらむかし。いでや。 @こなたの御ありさまの、さはあるまじかめるものをと思ふに、かかればこそ、世のおぼえのほどよりは、 Aうちうちの御心ざしぬるきやうにはありけれと思ひ合はせて、なほ、内外の用意多からず、 eいはけなきは、 fらうたきやうなれど、 gうしろめたきやうなりやと、思ひ落とさる。
 宰相の君は、よろづの罪をもをさをさたどられず、おぼえぬものの隙より、ほのかにもそれと見たてまつりつるにも、 Bわが昔よりの心ざしのしるしあるべきにやと、 h契りうれしき心地して、飽かずのみおぼゆ。 【若菜上】

問1 b簀子・c土器★の読みを現代仮名遣いで記しなさい。★

問2 eいはけなき・fらうたき・gうしろめたき・h契りの意味を言い切りの形で記しなさい。ただし、5字以内とします。★

問3 a参り・d参るの異同を記しなさい。★★

問4 @こなたの御ありさまの、さはあるまじかめるものを・Aうちうちの御心ざしぬるきやうにはありけれ・Bわが昔よりの心ざしのしるしあるべきにやを、指示語や省略が分かるよう現代語訳しなさい。★★★

問5 「源氏物語」の成立した時代・作者の名・作者が仕えた中宮とその父親の名を順に記しなさい。★

advanced Q. A上達部の座、いと軽々しや。こなたにこそという言葉の裏に読み取れる心理があるとすれば、それはどういうものか。「御簾の透影1/3 2/3」も含めて考えられる所見を記しなさい。

advanced Q. Bいと端近なりつるありさまとは、誰のどういうことを言っているのか。「御簾の透影1/3 2/3」も含めて考えられることを記しなさい。




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