奥の細道「白河の関」「平泉」「立石寺」「最上川」「大垣」  問題

白河の関

 心もとなき日数重ぬるままに、白河の関にかかりて、旅心定まりぬ。「いかで都へ」と便り求めしも理なり。なかにもこの関は三関の一にして、a風騒の人、心をとどむ。秋風を耳に残し、紅葉をおもかげにして、青葉のこずゑ、なほあはれなり。卯の花の白妙に、茨の花の咲きそひて、雪にも越ゆる心地ぞする。古人冠を正し、衣装を改めしことなど、清輔の筆にもとどめおかれしとぞ。

  卯の花をかざしに関の晴れ着かな  曾良

問1 a「風騒の人」とはここではどういう人を言うものか、具体的に記しなさい。

問2  次にあげる和歌は、筆者がこの文章で念頭に置いていたものである。空欄@Cにあてはまることばを、それぞれ本文中から抜き出しなさい。
     ・ 便りあらば[ @ ]告げやらむけふ白河の関は越えぬと
     ・ 見で過ぐる人しなければ[ A ]咲ける垣根や白河の関
     ・ 都にはまだ青葉にて見しかども[ B ]散りしく白河の関
     ・ 都をば霞とともに立ちしかど[ C ]ぞ吹く白河の関


平泉

 b三代の栄耀一睡のうちにして、大門の跡は一里こなたにあり。秀衡が跡は田野になりて、金鶏山のみ形を残す。まづ高館に上れば、北上川、南部より流るる大河なり。衣川は和泉が城をめぐりて、高館の下にて大河に落ち入る。泰衡らが旧跡は、衣が関を隔てて南部口をさし固め、夷を防ぐと見えたり。さても c義臣すぐつてこの城にこもり、功名一時の草むらとなる。 d国破れて山河あり、城春にして草青みたり、と笠うち敷きて、時の移るまで涙を落としはべりぬ。

   夏草やつはものどもが夢の跡
  e卯の花に兼房見ゆる白毛かな  曾良

 fかねて耳驚かしたる二堂開帳す。経堂は三将の像を残し、光堂は三代の棺を納め、三尊の仏を安置す。七宝散りうせて、珠の扉風に破れ、金の柱霜雪に朽ちて、すでに頽 廃空虚の草むらとなるべきを、四面新たに囲みて、甍を覆うて風雨をしのぐ。しばらく千歳のかたみとはなれり。

  g五月雨の降り残してや光堂

問1 b「三代」は平安時代終わりころ東北一帯で勢力を張っていた一族のことであるが、何と呼ばれる一族か、4・5字で記しなさい。

問2 c「義臣すぐつてこの城にこもり」の主語を記しなさい。

問3 d「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」は誰の何と言う題名の作品を下敷きにしているのか記しなさい。

問4 e「卯の花に兼房見ゆる白毛かな」の季語とその季節の名を記しなさい。

問5 f「かねて耳驚かしたる」を口語訳しなさい。

問6 g「五月雨」の読みをひらがなで記しなさい。


立石寺

 山形領に立石寺といふ山寺あり。慈覚大師の h開基にして、ことに清閑の地なり。 i一見すべきよし、人々の勧むるによつて、j尾花沢よりとつて返し、その間七里ばかりなり。日いまだ暮れず。ふもとの坊に宿借りおきて、山上の堂に登る。岩に巌を重ねて山とし、松柏年ふり、土石老いて苔なめらかに、岩上の院々扉を閉ぢて、物の音聞こえず。岸を巡り岩をはひて、仏閣を拝し、佳景寂寞として心澄みゆくのみおぼゆ。

  k閑かさや岩にしみ入る蝉の声

問1 h「開基」の意味を記しなさい。

問2 i「一見すべきよし」を口語訳しなさい。

問3 j「尾花沢よりとつて返し」とあるが、芭蕉が立石寺に着いたのは何月ごろか。適当なものを次の中から選び、記号で答えよ。
     ア 旧暦三月ごろ  イ 旧暦五月ごろ  ウ 旧暦七月ごろ  エ 旧暦九月ごろ

問4 k「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の句の趣を最もよく表している10〜15字の箇所を本文中から抜き出しなさい。


最上川

 最上川はみちのくより出でて、山形を水上とす。碁点・隼などいふ恐ろしき l難所あり。板敷山の北を流れて、果ては酒田の海に入る。左右山覆ひ、茂みの中に舟を下す。これに稲積みたるをや、稲舟といふならし。白糸の滝は、青葉のひまひまに落ちて、仙人堂岸に m臨んで立つ。水みなぎつて、舟危ふし。

  n五月雨をあつめて早し最上川

問1 l「難所」の意味を記しなさい。

問2 m「臨ん」を文法的に説明しなさい。

問3 n「五月雨をあつめて早し最上川」の初案は中七が「あつめて涼し」であったとされる。それに対して、「あつめて早し」とした句はどういう実感に基づくものか、40〜45字で説明しなさい。


大垣

 露通もこの港まで出で迎ひて、美濃の国へと伴ふ。駒に助けられて大垣の庄に入れば、曾良も伊勢より来りあひ、越人も馬を飛ばせて、如行が家に入り集まる。前川子・荊口父子、そのほか親しき人々日夜とぶらひて、 o蘇生の者に会ふがごとく、かつ喜び、かついたはる。旅のもの憂さもいまだやまざるに、p長月六日になれば、伊勢の遷宮拝まんと、また舟に乗りて、

  q蛤のふたみに別れ行く秋ぞ

問1 o「蘇生の者に会ふがごとく」を分かりやすく口語訳しなさい。

問2 p「長月六日になれば」を「長月」が何月かを明らかにして口語訳しなさい。

問3 q「蛤のふたみに別れ行く秋ぞ」の句に使われている掛詞について説明しなさい。

問4 「奥の細道」の作者名・成立した時代と時期・この作者とその門人達の俳風の名を順に記しなさい。

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