鴨長明「関路の落葉」（『無名抄』）　　　問題

　建春門院の殿上のａ歌合に、「関路の落葉」といふ題に、頼政卿の歌に、
　　都にはまだ青葉にて見しかども紅葉散り敷く白河の関
とよまれ侍りしを、そのたび、　�@この題の歌あまたよみて、当日まで　�A思ひわづらひて、俊恵を呼びて見せ　ｂられければ、「この歌は、かの能因が『（※）秋風ぞ吹く白河の関』といふ歌に似て侍り。されども、これは出で映えすべき歌なり。かの歌ならねど、かくも取りなしてんと、いしげによめるとこそ見えたれ。　�B似たりとて難ずべきさまにはあらず。」とはからひければ、車さし寄せて乗られけるとき、「貴房のはからひを信じて、　ｃさらば、　�Cこれを出だすべきにこそ。　�Dのちの咎をばかけ申すべし。」と言ひかけて、出でられにけり。
　そのたび、思ひのごとく出で映えして勝ちにければ、帰りて、　ｄすなはち　ｅよろこび言ひつかはしたりける返事に、「見るところありてしか申したりしかど、勝負聞かざりしほどは、　ｆあいなくこそ　ｇ胸つぶれ侍りしに、　�Eいみじき高名したりとなん、心ばかりはおぼえ侍りし。」とぞ、俊恵は語りて侍りし。

（※）上の句は「都をば霞とともに立ちしかど」。

問１　ａ歌合の読みをひらがなで記しなさい。★

　　　ｂられを文法の観点で簡潔に説明しなさい。★

　　　ｃさらば、ｄすなはち、ｅよろこび、ｆあいなく、ｇ胸つぶれの意味を（活用語は基本形で）記しなさい。★

問２�@この題の歌あまたよみてについて、「歌あまた」詠んだのはなぜか。簡潔に説明しなさい。★★★

　　�A思ひわづらひてとは、具体的には何をそうしたというのか。簡潔に説明しなさい。★★★

　　�B似たりとて難ずべきさまにはあらずとあるが、俊恵は、この歌のどんな点が評価されると考えているのか。簡潔に説明しなさい。★★★

　　�Cこれを出だすべきにこそについて、（1）「これ」とは何か。★★（2）このように決心したのはなぜか。簡潔に説明しなさい。★★★

　　�Dのちの咎をばかけ申すべしを「のちの咎」を具体的にして現代語訳しなさい。★★★

　　�Eいみじき高名したりとは、どのようなことに対して述べたものか。簡潔に説明しなさい。★★★

問３　歌合であらかじめ歌題が出されることを何といいますか。漢字２字で記しなさい。★

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