太宰治「富岳百景」2/2  ヒント

  本文のキー・ワード、キー・フレーズを蛍光ペンなどでマークしながら考えてね。

問1 「私」が、「素朴な、自然のもの、したがって簡潔な鮮明なもの、そいつをさっと一挙動でつかまえて、そのままに紙にうつしとること」=「単一表現」への確信と疑念との間を揺れ動いている場面。そのことが「富士」との関係で語られています。

問2 前段落に、ほかの遊女たちは「茶店の店頭に並べられてある 絵葉書を、おとなしく選んでい」たり、「佇んで 富士を眺めてい」たりする。そんな遊女たちから離れたところで、「ひとり、何かしらつまらぬ草花を、だまって摘み集めていた。私たちがそばを通っても、振り向きもせず熱心に草花を摘んでいる」とある。

問3 「このうえは、縁談断られても仕方がない、と覚悟をきめ、とにかく先方へ、事の次第を洗いざらい言ってみよう」と思う「私」。「ことごとしい式などは、かえって当惑するようなもので、ただ、あなたおひとり、愛情と、職業に対する熱意さえ、お持ちならば、それで私たち、結構でございます。」という予想外の「母堂」の返答。「私」は何を感じ、どういう心持になったのか考え、まとめてみましょう。

問4 『小説は、一枚も書き進めることができなかった。…「たくさんお書きになっていれば、うれしい布団頭からかぶって、寝てたじゃないか」』の文脈の中で、「しんからいまいましそうに、多少、とげとげしい口調で」の背後の心理を考えまとめてみてください。「これは人間の生き抜く努力に対しての、純粋な声援である。なんの報酬も考えていない。私は、娘さんを、美しいと思った。」という「私」の受け取り方も参考にして。

問5 a…直後にその理由が述べてある。写真撮影の技術に自信がない、「しかも」、見た目がむさくるしいのに都会の若い女性から頼みことをされるなど考えていなかった。
   b…男性として魅力があり、頼りがいがあるように見えるのがうれしい気持ちがする。
   c…内心を悟られまいとする。
   d…知っているけど念のために聞くんだけど〜(魅力があり頼りがいのある男を演じるポーズ)。
   e…カメラ、失敗したらどうしよう+「娘さん」に男としてよい印象を残したい。
   f…「ひしと抱き合うように」「いよいよ澄まして、固くなっている」その緊張振りに「笑いをこらえて」と書かれています。


advanced Q.1 「山は、登っても、すぐまた降りなければいけないのだから、つまらない。どの山へ登っても、おなじ富士山が見えるだけで、それを思うと、気が重くなります。」という「私」の言葉、常識的に考えて何が「変」なことになるのか…?@登山について、A富士山を見ると気が重くなると言っていることについて、それぞれ指定された言い方でまとめてみてください。

advanced Q.2 さりげなく振舞ったのは、「…が、…とみせかける」。「娘さん」「ふたり」を強く意識した心理です。




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